川の光日記

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猿と人間のあいだ

kafka01

三軒茶屋のシアタートラムで5月2~6日に公演が行われた『カフカの猿』を見た。
カフカの短編「ある学会報告」を翻案した、キャサリン・ハンターの一人芝居である。

「ある学会報告」は、一匹の猿が、自分はいかにして猿から人間になったか、講演で報告する形式で書かれている。
ピーターと名乗るこの猿は、アフリカの黄金海岸で捕えられ、船で移送される間に必死に人間を観察してその物真似をし、
言葉を学ぶことで生き延び、いまでは見世物小屋のスターとして、人間と変わらない暮らしをしているのだ。
多和田葉子の『雪の練習生』にも影響を与えていると思われるこのカフカのテキストが
いったいどのように舞台化されるのか、興味津々だったが、キャサリンが登場した瞬間から
一気に芝居の世界に引き込まれ、最後まで固唾をのんで見守ることになった。

ぱっと見には小柄な人間なのに、よく観察すると、しぐさも態度もどこかおかしい…
「人間になった猿」という奇怪な存在が、そのまま目の前にいる感じ。
自由自在に動く長い腕、猛スピードで梯子を駆け上る驚異的な身体能力。
所作のひとつひとつに、人間ならざる生き物がもつ違和感が仕掛けられている。

テキストはほぼ原作通りだったが、ラストに付け加えられたいくつかのセリフで、
原作では暗示に止まっている人間性に対する告発が、より鮮明に打ち出されていた。

「猿」は、見る人によってさまざまに置き換え可能だと思う。
これを西欧文明によって植民地化されたアフリカやアジアをめぐる寓話と捉えることも、
男性社会における女性、白人社会における有色人種など、マイノリティのあり方を重ね合わせることもできるだろう。

しかし何はともあれ、人間を相対化する存在としての“動物”をここまで見事に身体化してみせた
キャサリン・ハンターという女優さんは凄いの一言である。
久しぶりに一流の俳優による名舞台を見て、すっかり満足した連休の一日だった。


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  1. 2012/05/06(日) 23:43:42|
  2. 日記
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:1
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コメント

良かったですね。

IZUMIさん、こんばんは。お芝居を観られたそうで、良い連休になって良かったですね。この方はイギリスの俳優さんですよね。私はミステリーが好きで、BBCのドラマをたまに観ますが、ホームズやポワロ、マープルなどで活躍している俳優さんの中に、好きな方が結構いたりします。
お芝居は、英語だったのでしょうか?タキシード姿のようですが、彼女がお猿さん(人間ぽくなったお猿さん)に見えて来るのですね?ラストに加えられたセリフ、ぜひお聞きしたいところですが・・・。ネタばれになってしまうかな?充実した気分のまま、お仕事の方も頑張って下さいね。
  1. 2012/05/07(月) 17:38:21 |
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  3. あき #XcHMMwdw
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三軒茶屋のシアタートラムで5月2~6日に公演が行われた『カフカの猿』を見た。カフカの短編「ある学会報告」を翻案した、キャサリン・ハンターの一人芝居である。「ある学会報告」は...
  1. 2012/05/08(火) 01:24:15 |
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