川の光日記

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『川の光』もうひとつの源流

先日取り上げた『ドリトル先生』シリーズに続いて、
もう一冊、『川の光』に大きな影響を与えた本をご紹介したいと思う。
ケネス・グレアムの『たのしい川べ』である。

kawabe01
↑『たのしい川べ』はタミーの愛読書でもある。
タミー専用の書見台(ニーチェアのオットマン)に乗せてじっくり読み返し中。

このあまりにも有名な児童文学は、あらすじを要約するのがむずかしい。
副題は「ヒキガエルの冒険」だが、実は主人公はヒキガエルではなく、訳者の石井桃子も指摘しているように、
冒頭で出会って一緒に暮らし始める、川ネズミとモグラである。
春から秋へ、雪が降る厳冬からまた春へと移り変わるイギリスの自然を背景に
小動物たちのささやかな日常がつづられていく。

夫はエッセイ集『散歩のあいまにこんなことを考えていた』(文藝春秋刊)に収められた
「大人のための児童文学・私が薦める一冊」という短い文章で、『たのしい川べ』について次のように書いている。

「構成がほとんど破綻していると言ってよいこの物語が放っている光芒はなんとも不思議なものだ。
一方で、地下住居の安息、頬をなぶる甘い川風といったバシュラール的な物質的想像力の快楽がある。
しかしまた他方、そうした小さなユートピアに自足することの諦念にかすかな哀しみが忍びこみ
(川ネズミと旅ネズミの章)、それがこのささやかな童話に人生の時間の奥行きを賦与している」

そうなのだ。これはまさしく、大人のための児童文学なのである。
いま読み返しても、モグラが友達に対してふと感じる小さな心のすれ違いや、
海ネズミの波瀾万丈の体験を聞いて興奮した川ネズミの、
あこがれが嵩じて錯乱してしまう心境に、思わず胸がしめつけられる。

夫が一番好きなのは、モグラが散歩中に昔の自分の住居を嗅ぎつけて、ネズミと一緒に探し当てるエピソード。
「地下の家が昔のまま残ってるんだよね。玄関の前庭に彫像が置いてあって。モグラは大喜びで、
ネズミを案内してまわるわけ。そのうちイワシの缶詰とか食べ物も見つかって。その日はちょうど
クリスマス・イヴで、野ネズミの子どもの合唱隊が来て本格的に買い出しに行って、
やがてみんなでテーブルを囲んで宴会になる。その食べ物がどれもおいしそうでね…」

この地下の家のイメージは後々まで彼のなかに残っていて、
なんと小説『不可能』第一章の地下室にまで繋がっているそうである。

食べ物に関してはタミーも夫に同感で、『たのしい川べ』で最も注目すべきは食事の描写だという。
「とくにネズミとモグラが最初にいくピクニックのお弁当がいい」とのこと。
このときのお弁当の中身は「コールドチキン、コールドタン、ハム、キュウリの酢づけ、
サンドウィッチ、肉の缶づめ、ビール、レモネード、ソーダ水」。
なんて贅沢なピクニックバスケットだろう。




余談だが、ふたりの独身者の同居生活を描いたこの童話は、欧米ではゲイに愛好されており、
夫がロンドン滞在中に見に行った『たのしい川べ』の舞台版はまさしくゲイ的な演出で、
隣に座った青年に微笑みかけられ、芝居がはねてから「これからどうするの?」などとやさしく誘われて
ちょっとドキドキしたそうだ。もちろんお誘いは丁寧に辞退したらしいが。

kawabe02
我が家の庭では、今朝、紅梅が咲き始めてようやく春の気配。
いつもこの梅はフライング気味に年明け早々に開花するのだが、今年の冬は本当に寒かったらしい。



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  1. 2012/02/11(土) 10:40:18|
  2. 川の光
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

たのしい川べ

タミーさんの愛読書というのにつられて本を取り寄せてしまいました!
ハードカバーではなく文庫版ですが…すごくモグラ君とネズミ君の会話がワクワク感が出てきます。じっくり熟読したいと思ってます。
  1. 2012/02/13(月) 20:44:47 |
  2. URL |
  3. みもっち #-
  4. [ 編集 ]

Re: たのしい川べ

みもっちさん、こんばんは。
『たのしい川べ』は本当によい本ですよ。
私がいちばん好きなキャラクターは川ネズミ君です。
  1. 2012/02/13(月) 21:47:34 |
  2. URL |
  3. IZUMI #-
  4. [ 編集 ]

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