川の光日記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

冬の犬

今朝、東京では少しだけ雪が降った。積もるのではと期待して空を見上げていたが、
すぐ雨に変わり、やがて止んでしまった。

ううむ残念。このまま降り続けてくれれば、このときみたいにタミーと遊べたのに。
snow01

雪の予感に興奮した寒い朝、アリステア・マクラウドの『冬の犬』という本を思い出した。

マクラウドは1936年生まれ。カナダのノヴァ・スコシア州ケープ・ブレトン島で育ち、
きこり、坑夫、漁師などで学資を稼いで博士号を取得、大学で教える傍らこつこつと小説を書いた。
この本には彼が31年間に書いた16の短編のうち8編が収録されている。

私が好きなのは表題作「冬の犬」。書き出しはこんな感じだ。

「これを書いている今は十二月、もうすぐクリスマスがやってくる。
オンタリオ州南西部のこのあたりでは三日前に初雪が訪れた」

雪が降って大喜びの子供たちは庭に出ていき、近所の犬と遊び始める。
それを眺めていた語り手は、ふと少年のころ飼っていた犬を思い出す。
力だけは強いが気が荒く役立たずと思われていたその金茶色の雑種犬は、ある猛吹雪の午後、
犬ぞりに乗っていた少年が氷が割れて湖に落ちたとき、戻ってきて彼をひっぱり上げ、命を救ってくれたのだ。
だがそんな犬を待ち受けていたのは、予期せぬ悲しい運命だった。
厳冬の自然を背景に、人と犬との残酷さをはらんだ物語が、感傷を排した精緻な文章で綴られていく。

とくに何度も読み返してしまうのは、書き出しの、犬と子供たちが遊ぶ場面だ。

雪の中、どこからともなく現れた「金色に輝くコリーに似た犬」は、最初はおとなしく子供たちを見ているが、
やがて「無言の招待に応じるように」その輪のなかに飛びこんでいく。
脱げた手袋を奪って嬉々として宙に放りあげ、子供たちの間をジグザグに走りまわる。

「全員の手をかいくぐって逃げおおせたあと、得意満面の選手のように肩越しに振り返り、
まるでエンドラインがあるかのように、もう一度手袋を宙に高く放りあげる」

おそらくゴールデンレトリバーと思われるこの犬は、
そうやって子供たちを翻弄してから、ひらりとフェンスを飛び越えて去っていく。

できれば全文をここに書き写したいくらいだ。
犬が無心に遊ぶ姿を、これほど生き生きと正確に描いた文章には出会ったことがない。

マクラウドの短編集はもう1冊『灰色の輝ける贈り物』という表題で刊行されていて、こちらも素晴らしい。
今週末はストーブの前に陣取って読み返してみようと思う。




スポンサーサイト
  1. 2011/12/09(金) 13:39:33|
  2. 動物の本
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<猫の肉球を占ってみた | ホーム | 『タンタンの冒険』とスノーウィ>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kawanohikaridiary.blog.fc2.com/tb.php/38-9d0c1426
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

IZUMI

Author:IZUMI
賢くて優しかったハナちゃん
(2003~2013)の思い出に



『川の光2 タミーを救え!』
絶賛発売中!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

タミー (34)
ハナちゃん (21)
川の光 (48)
日記 (270)
動物の本 (17)
動物の映画 (13)
旅先の動物たち (9)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。