川の光日記

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小諸



このまま家にこもっているのはよくない、とどちらからともなく言い出した。
どこか行ったことのない町に散歩に行こう。小諸なんかいいんじゃないか。

しなの鉄道で中軽井沢から20分。
「小諸なる古城のほとり…」で有名な宿場町を、心ここにあらずでふらふらと歩いた。

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懐古園、北国街道、赤く色づいてはじけたツリバナの実。
閉館中の寅さん記念館。
どうやらここは、昭和40年くらいで時間が止まってしまったような、とてもいい町みたいだ。
でも外界との間に薄いベールが一枚かかっているみたいで、何も頭に入ってこない。

歩きながら脳裏に浮かぶのは、ハナちゃんのことばかり。
吉祥寺の台所のカウンターに賢いフクロウみたいにきちんと座って、私たちが食事するのを眺めていたハナちゃん。
軽井沢の庭で石を拾っているとどこからともなく現れて、別に手伝ってくれるわけではないけれど
ずっと見守っていてくれたハナちゃん。
タミーと一緒にソファの上で丸まってぐっすり眠っていたハナちゃん。
最後にもう一度、大好きだったカツオのなまりを食べさせてやりたかったなあ。

そういえば、ハナちゃんの火葬の翌日、不思議なことがあった。
夕方近く、夫と台所の窓のそばでぼんやりしていたら、外で一声「ニャア」と声がした。
夫は外に出て探してみたけれど、見つからなかったという。

でもよく考えたら、この辺で猫を見かけたことなんて一回もない。
周囲の別荘の人たちは、みんな東京に帰ってしまっている。

私は、宗教もオカルトもおまじないも占いもまったく信じないし、
これまで幽霊の類を見たことも一回もない。
「私、前世では中世の騎士だったらしいの」などと言い出す人がいたら、
「この人とは少し距離を置こう」ととっさに考えてしまう唯物的な人間である。夫も同様だ。
でもあの声は、やっぱりハナちゃんだったのではないか。そうとしか思えない。

「Je suis la(私はここよ)」と(なぜかフランス語で)言っていたんじゃないかと夫はいう。
たしかにあの声は、軽井沢に引っ越してきた夜に家出して、
翌日の夜遅く戻ってきたときの「ニャア」にそっくりだった。

「じゃあね」と言っていたのかもしれない、と私は思った。
大げさなことは照れくさくて嫌いな猫だったから。

カッコつけてばかりいるけれど本当は依存心が強くて、
情報魔で知ったかぶりで、脱原発派でTPPに反対だったハナちゃんは
思えば私のアルターエゴだった。
自分が少し死んだような気がするのは、そのせいなのかもしれない。

そして私たち夫婦の心に、この数日、むくむくと湧き上がってきた感情。
それは「相手に先に死なれたらヤバイ」という恐怖である。

「それは当然、ぼくのほうが先に逝くでしょ。なにしろ年上なんだから」
「いや年齢の問題じゃないでしょ。あなたはいろんな人に“長生きするタイプ”って太鼓判を押されてるわけだし」
「そう言ってるのは川上弘美さんだけだよ」
「でも川上さんの言うことはいつでも正しいから」

そんなことをぼんやりした頭のまま語り合い、利己的な理由で相手の長寿を祈りながら帰路についた。

ハナちゃんの骨は、もう少ししたら、庭に植えてもらった白樺の根もとに埋めてあげたいと思っている。




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  1. 2013/10/10(木) 14:08:11|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
<<夫です。ハナちゃんのこと(続き)。 | ホーム | 夫です。ハナちゃんのこと。>>

コメント

川上さんが仰るなら・・・

秋の小諸は風情がありますね。小旅行、何よりでした。素敵なお写真、ありがとうございます。構図も絞りも、バッチリですね。ツリバナなんて、遠近感があって丸でプロみたい。いつの間に、こんなに腕を上げられたのでしょう。何もお役に立てず申し訳ないばかりか、何だか、私の方がご夫妻から励まされたような気がしました。ただ、先生の後ろ姿は寂しそうで、思わず涙が・・・。背中が「語る」というのは本当ですね。どうか、先生の背中に元気が戻りますように・・・。
「ニャア」はハナちゃんに間違いないですよ!フランス語とは恐れ入りました。お別れだったのでしょうか。でも、ハナちゃんは近くにいて、また鳴いてくれるような気がします。
川上さんが仰るなら、先生の長生きはもう「決定事項」ですね。大丈夫、IZUMIさんだって、長生きに決まっています。あの世に行きたいと思っても、ご夫妻みたいに優秀な方々は、天国の方が扱いに困って、受け入れ拒否になりますよ。それとも、「曲った臍の位置を直してから来ることじゃな」(←古老?)と言われるかな?どうか、永遠に臍の位置が戻らぬようにとお祈りしています。冗談はともかく、お二人にはずっと長生きして欲しいです。どうか、くれぐれもお体を大切になさってください。大変な時に、更新ありがとうございます。何も出来ませんが、悲しみが癒えますよう、心からお祈りしています。
  1. 2013/10/10(木) 16:55:35 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

樹木葬

お二人で、ぶらり旅に出られたのですね。そちらも、まだ暑いですか?
ハナちゃんがご夫妻に「ニャア」と別れの挨拶にやって来たのですね。なんて律義なんでしょう。 「カツオのなまりを食べさせてやりたかった」この気持ち、ほんとうにね、胸にジ~ンときました。ハナちゃんは白樺の根元に眠るのですね。白樺はハナちゃんにぴったりです。どなたかのコメントに『虹の橋』というのがありましたが、ハナちゃんはそこでお利口さんにしていると思います。どうぞ、ご自愛ください。
  1. 2013/10/10(木) 17:32:16 |
  2. URL |
  3. ビス丸のファン #-
  4. [ 編集 ]

良かったです・・・

お二人でお出掛けになられた事、本当に良かったです・・・。
まだまだハナちゃんの事が頭から離れず、何をしていても、思い浮かぶのはハナちゃんばかり・・・。
当然ですよね・・・。
きっとハナちゃんもお父さんとお母さんが私の話をしてくれている!!!ときっと傍で聞いている事でしょう・・・。
今度からお二人でお出掛けの時はタミーちゃん独りでのお留守番になってしまうのでしょうね。
タミーちゃんもきっとハナちゃんの存在の大きさに先生やIZUMIさんと同じくらい驚いて事でしょう・・・。
それにしてもハナちゃんのお別れの挨拶、またまた泣いてしまいました・・・。
私にも10年前に亡くなった柴犬のてつ(享年20歳)がいました。
父が大好きなてつもほとんど歩けなかったにもかかわらず、昼亡くなる前の明け方に寝ている父の枕元まで歩いて行き、じっと父の顔を見ていたという事でした。
その頃随分弱っていたてつが心配で、毎晩てつの真横で寝ていた私ですが、全く気が付かず・・・。
それから父と同じ部屋で寝ていた母も同じく気が付かず・・・。
本当に大好きな父の所に挨拶に行ったのです・・・。
ハナちゃんお話、あの時の我が家のてつの出来事にダブって、またしても涙が止まりませんでした・・・。
先生、IZUMIさん今は想いっきりハナちゃんを想ってあげてください!!!
  1. 2013/10/10(木) 18:58:27 |
  2. URL |
  3. まやてつ #FCWDJ4oA
  4. [ 編集 ]

虹の橋

私もオカルトの類は信じていませんが、
動物(ペット)に関する話だけは無条件に信じてしまいます。

自分が死んだときには、先にお空に還ったペットたちが、
虹の橋まで迎えに来てくれるそうですよ。
そんな話を聞いて以来、死ぬのが少しだけ怖くなくなりました。

ハナちゃんはきっと、ご夫妻とタミーちゃんに、
お別れを言いにきたのですね。
「またね」と言っていたのかもしれません。
  1. 2013/10/10(木) 23:55:22 |
  2. URL |
  3. inocco #BRwvxaDM
  4. [ 編集 ]

小さな旅

お二人でお出かけなさったんですね!小諸は良い町ですね!千曲川は、いかがでしたか?山に抱かれた家並みのお写真、私のふるさとの町を思い出しました。信州には、小さな旅に、ふらりと出かけたくなる様な所が、沢山ありそうですね!これからは、いつもハナちゃんと、一緒のお出かけですね。小諸では、沢山歩かれましたか?「ニャオ」とやっぱり、ハナちゃん来てくれたんですね!先生、IZUMIさんよかったですね!白樺の木の下・・・・ハナちゃんに、本当に、ピッタリです。何だか居心地よさそうですね!そろそろチューリップの球根を植える時です。今年は、全部、白にします。私の中で、ハナちゃんの色は白ですから。春になって、白いチューリップが、沢山咲いたら、きっと、きれいでしょうね!毎日、ハナちゃんの、記事見てます。今日は、IZUMIさん作のリリアンを首輪に、しているハナちゃんを、発見!似合ってますよね!私も、懐かしくて、編みたくなりました。季節の変わり目です。そちらは、もう寒いですか?どうぞどうぞ、お風邪には、ご用心です!
  1. 2013/10/11(金) 00:17:44 |
  2. URL |
  3. アロマポット #3l8pHDnU
  4. [ 編集 ]

ハナちゃんのごあいさつ

先生のお背中がとてもお寂しそうで、私もハナちゃんがもういないことが、悲しくとても寂しい秋となりました。10月には、又4人で帰京なさるとばかり思っておりましたのに本当に寂しいです。でも、ハナちゃんがごあいさつにやってきたというお話、とても悲しいのだけれど、ものすごくいとおしく素敵なお話だと思いました。私は「川の光」を読んで以来、動物たちには人間のことばがちゃんとわかっているのだと確信するようになりました。先生とIZUMI様はハナちゃんやタミーちゃんと会話なさってましたものね。
今年は冬の到来が早いらしいので、先生、IZUMI様、タミーちゃん、くれぐれもお体ご自愛下さいね。
  1. 2013/10/11(金) 06:59:10 |
  2. URL |
  3. k@s #sYI06w5Q
  4. [ 編集 ]

樹の根元

我家も4年前に20歳の大往生をとげた犬のエルをアメリカデイゴの根元に埋めました。
ところが たろが(犬) 大好きな穴掘りで穿り返してしまいました。深く埋めたつもりなのに・・・埋めなおして、たろに言い聞かせその後は無事で、今は雑草とツユクサが覆い隠しています。



  1. 2013/10/11(金) 13:41:22 |
  2. URL |
  3. コマダム #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは

私も宗教やオカルトのものは信じておりませんが

今まで関わってきた子達の気配はいつも感じています

ハナちゃんはいつもお二人のそばにいてくれるのだと思います
  1. 2013/10/11(金) 14:43:35 |
  2. URL |
  3. まゆこ #-
  4. [ 編集 ]

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