川の光日記

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元気の出る闘病映画



また東京に帰ってきている。
軽井沢ではゾンビ化しているくせに、帰ってきたとたん「東京で見たいものリスト」をさくさく作成し、
滞在期間中にそれを消化するためのスケジュール作りに邁進してしまう情報魔の私…。

今回も昼は展覧会と映画、夜は会食、深夜にTSUTAYAで漁ってきた新作DVDを消化する
という超過密スケジュールのなか(軽井沢にもレンタルDVD店はあるが、家から車で20分…)
昨晩DVDで見た映画のことが、いまも頭から離れないでいる。

映画のタイトルは『私たちの宣戦布告』。

物語はいたってシンプル。出会った瞬間にぴんとくるものを感じて恋におち、
一緒に暮らし始めた男と女の間に子供が生まれる。
ところが、子供の様子がなんだかおかしい。ミルクをすぐに吐き出してしまうし、
1歳半になってもちゃんと立てない。よく見ると顔面が非対称。
CTスキャンとMRI検査の結果、脳に腫瘍があることがわかって緊急手術をすることに。
手術は成功したものの、脳幹に浸透していた腫瘍は取りきれず、かつ悪性だと判明する…。

つまり、子供の難病もの。そしてこれは監督で主演のヴァレリー・ドンゼッリと、
彼女と実際にパートナーだった主演男優ジェレミー・エルカイムとの実体験なのだという。

こう説明すると、なんだかとてもシリアスで重い映画のように思えるかもしれないが、
映画の印象は驚くほど軽やかで、疾走感にあふれている。
たとえば、子供の腫瘍が判明する病院の場面。
凡庸な映画なら、病状を宣告する医師とそれを聞く母親のクローズアップを交互に切り返し、
ショックを受けて泣き崩れる母親の表情をじっくり映し出す…という演出になるところだが、
この作品では、宣告を受けた母親はいきなり病院の廊下を走り出し、カメラも一緒に走る。
走って走って、ついに力尽きて倒れるまでがワンショットで捉えられる。この間、愁嘆場はいっさいさし。

さらに、子供の闘病を支える生活を始めたふたりは、病院通いの合間も自分たちの楽しみは捨てない。
友人のホームパーティに出かけて騒いだり、バイクのふたり乗りで遊園地に遊びに行ったり。
腫瘍が悪性だとわかったときも、子供を連れて病院を抜け出し、海を見に行く。
まことにフランス人は、生きることの達人である。

5年間の闘病を経て子供の腫瘍は寛解し、3人はまた海を見に行く。
(成長した子供はなんとふたりの実際の子供が演じている!)
この間、いろいろあってふたりは別れてしまったけれど、いまも別の強い絆で結ばれていることが、
最後にさりげなくナレーションで告げられる。

音楽や編集のセンスとか、ヌーヴェルヴァーグの影響とか(ヴィヴァルディの使い方などはトリュフォーみたいだし、
ジャック・ドゥミみたいなミュージカル場面まである)映画的にも見どころ満載なのだが、
私はとにかく、扱われている事柄が、とても他人事に思えなかった。
何もわからず不安そうにしている子供を医師に託して、検査の結果をただ待つしかない、
あの胸を締め付けられるような感じ。
最悪の結果を告げられてからの、時間の感覚の歪み。
そして、人間いつまでも落ち込んでいられないし、落ち込んでいてはいけない、という達観。

愛する誰かが病気になってしまった経験をもつ人には必ず響くと思うが、
そうでない人にも、とても面白い映画だと思う。おすすめ。

ああ、軽井沢でタミーはどうしているかな…

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  1. 2013/09/15(日) 21:41:33|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

説得力

ハードスケジュールを消化しつつ充実した日々とは…なんてタフなIZUMIさん。
読んでいて映画の話とタミーちゃんが重なってしまいました。映画を観て元気づけられたのでは?ドキュメンタリーはすごく説得力があり感動的です。タミーちゃんも寛解に近い状態にまでなれたらいいですね。
  1. 2013/09/16(月) 00:35:47 |
  2. URL |
  3. ビス丸のファン #-
  4. [ 編集 ]

台風

IZUMIさん、先生、台風接近してますが、大丈夫でしょうか。タミーちゃん、また怯えてないか心配です。くれぐれもご用心下さい。
家族が病気と知った時、心は内へ内へと向かい、「どうして」「何で」と絶対出る筈もない答えを探して堂々巡りをしてしまいました。自分が悩んだところでどうにもならないということは分かっていても、見える世界がそこだけになってしまって・・・。でも、何気ない誰かの一言や映画や小説の一場面で、ぱーっと視界が広がり、前向きになれるということは確かにありますよね。私にとっての救いは、IZUMIさんのブログや先生の小説、そして詩でした。「川の光2」や「afterward」は、リアルタイムで励まされた作品です。詩集は枕元に置いて、くじけそうになった時など、度々読み返し、勇気をもらっています。・・・ということで、「川の光2」の出版を心からお待ちしています(?)。
  1. 2013/09/16(月) 10:20:14 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

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