川の光日記

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猿の人生

犬の人生があれば、猿の人生もある。
動物園で撮影したサル山の写真を眺めながら、ふとそんなことを考えた。

081b.jpg
初夏は換毛の季節。もの思いにふけるこの猿も、よく見ると
背中から腰にかけての毛を残して夏毛に生え換わっている。


「おかあちゃんどう、ここ気持ちいいかい…」
「ありがとうよ坊、ああ極楽、極楽だねえ」

少し大きな動物園ならどこにでもあるサル山。
そこで暮らす猿たちに、世界はどう見えているのだろうか。
捕獲されて連れてこられた猿は、人間と同程度には世界の広がりを認識しているはずだ。
でもここで生まれた子ザルにとっては、サル山とそこから見える景色が世界のすべてだ。

蒸し暑くて眠れないある晩、「坊、お前は知らんだろうが、ここからずっとずっと遠くまで行ったところに、
森というものがあっての…」と語り始める古老猿。
「もり? もりって何?」と目を輝かせるサル山生まれの子猿。
「いまおまえが座っておるのは、コンクリートで固めて作った嘘の木じゃ。
森には本物の木がたくさん生えておっての。どこまでもどこまでも広がっておるのじゃ。
それはもう、気がせいせいするような眺めなのじゃよ。
ただ、冬場は食べ物も少なくなるし、暮らしはここより厳しいがの…」

しかし、そんな昔語りをする古老もいつか死んでしまい、
やがてサル山は森を知らない“ゆとり世代”の猿だけになってしまう…。

SFにありがちな設定に「井の中の蛙もの」とでも呼びたいパターンがある。
主人公は「これが自分にとっての世界、自分の毎日の生活は当たり前」と信じて生きているのだが、
ふとしたきっかけから、周囲のすべては作り物であり書割であり、
自分は誰かが巧妙に設計したシステムのなかに監禁されていたことを知る。
『逆転世界』、『トゥルーマン・ショー』、『マトリックス』等々。いま絶賛公開中の『オビリビオン』もそうだ。
サル山で生まれ育った猿が真実の世界を発見するときのクラクラ感は、
『オブリビオン』でトム・クルーズが演じた主人公の驚愕と同じなのではないだろうか。
(ちなみにOBLIVION とは「忘却」の意)

(余談だが、こういうときに自然に口をついて出てしまう、いわゆる「古老の語り口調」は、
いつどのようにして刷り込まれたのだろうか。
そして実際にこのように語る古老は、世界のどこかに実在するのじゃろうか…)

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  1. 2013/06/02(日) 18:53:31|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

古老が・・・

また、予想通り腹筋が痛いです。どうして、こう、つぼにはまるんでしょう(「かあちゃん」と「坊」なんて、どうして思いつくんです)?IZUMIさんは、物語を作る天才ですね。お写真、すごくいいです。背景の緑との対比で、奥行きが出てますね。毛並みもリアル。1枚目は、お猿さんの物憂げな表情を見事に捕らえていますね!
IZUMIさんのお話をうかがっていて浮かんだのは、「井の中の蛙もの」とは、ちょっと違うかもしれませんが、先生の「半島」の地下の場面でした。お猿さんと捕らえられた子供がだぶったのでしょうか?(「アザーズ」や「シャッターアイランド」、「シークレットウインドウ」なども、ある意味同じでしょうか?)ご本の先生のコメントに自ら映画化してみたいとありましたが、いつかかなうといいですね。いや、きっと、かなうじゃろう・・・。(←いつの間にか、古老に・・・?)
  1. 2013/06/02(日) 22:50:02 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

古老の語り物。。

ですぐ連想するのは、インディアンの世界ですよね。
映画では「レジェンド・オブ・フォール」なんかが典型的ですよね。もちろん、文字社会以前は日本でもどこでも古老が「歩くアーカイブ」なんで、口承文化時代が何千年も続いたんですよね。昔話なんかも本が容易に手にはいらない時代には、古老がこどもたちをあつめて物語っていたんですよね。むかしむかし、あるところに。。で始まり、それが全部あわさって長い年月かかって、もう古老の代わりにスマホが語るこの世界が出来たんですよね?
  1. 2013/06/03(月) 18:46:55 |
  2. URL |
  3. ムルムル #5yrVOggo
  4. [ 編集 ]

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