川の光日記

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夫の日記その4(2013・3・28)




MRIとCTの診断、告知、放射線治療の開始と、あわただしい日々だったが、ふと冷静になってみると、
このかん、タミーの様子はこれまでとまったく変わっていない。
いつものように元気いっぱいだ。ごはんかな、散歩かなと感づくと(これがタミーの二大イベント)、
大はしゃぎをして跳ね回りはじめる。これまでずっとそうだったように、
タミーはいつも「生きる歓び」に満ち溢れている。
そのあたり、わたしたちの文章が3月21日以降、とつぜん悲愴になってしまったので、
これを読んでくださっている皆さんにやや誤ったイメージを与え、
過剰に心配をおかけしすぎているかもしれません。申し訳ございません。

タミーの今のガンは、1〜4の4ステージのうちの第1ステージにすぎず
(第4ステージが末期状態ということになる)、まだ骨にはまったく触れていない。
気道も確保され、すうすう穏やかに息をしている(今後、放射線で壊れたガン細胞が排出され、
鼻づまりを起こすかもしれないという話だが)。
東大の西村先生は、今のところ痛みはまったくないはず、ちょっと鼻がムズムズするくらいでしょうと
おっしゃっていた。しかし、くしゃみもほとんどしないし、わたしの見るところ
ムズムズ感さえないのではないか。
つまり、当面、ガンはタミーのQOLをまったく侵していないということだ。
そして、どれほど効くかはまだまったくわからない放射線治療だけれど、とにかくそれが、
事態を一時的には──あくまで「一時的には」だが──さらにいっそう、改善してくれるはずだ。

だとすれば、たとえ最悪のシナリオで考えるにせよ、「少なくとも」これから半年くらいは、
元気いっぱいのタミーと暮らせるだろう、とわたしは思う。勝手な思い込みかもしれないが、
そう考えている。1年、と言いたいところだが、むなしい希望は持つまい。
その半年の後、何が起きるかは、今はできるだけ考えないことにしよう。

これからの半年。
それがわたしの人生のいちばん大事な時間になる。わたしは、これからの半年を、大事に大事に生きようと思う。
タミーと家内とハナちゃんとともに、一日一日の平穏を大事にいつくしみながら、ゆっくりゆっくり呼吸しつつ、
丁寧なうえにも丁寧に生きようと思う(それは結局は単に、ふだん通りにしているということなのだが)。
平凡な日常に流れるおだやかな時間ほど、有難いものはないのだから。

幸い、今軽井沢に建てている小さな家が7月末にはできる。タミーのために建てることにした家だ。
タミーはそこで、少なくともひと夏だけは元気に過ごすことができる。できたら、ふた夏、あるいは幾夏も……
と考えたいところだが、これも、先のことは考えないようにしよう。
おたおたと取り乱して、悲壮感とともに右往左往するといったことはしまい。
悲観してうちひしがれるといったこともしまい。少なくともタミーの前ではそんな顔を見せまい。

ちょっと退屈な、平穏な日々というものが、人生の最高の幸福なのだということを、わたしたちは今回、
骨の髄まで思い知らされた(こんな物言い自体が陳腐な紋切り型であることは、重々承知しているが、
真理はもっとも平凡なもののなかにしかないのだから仕方がない)。
そして、それが少なくともあと半年は続く。有難いことではないか。
それを目いっぱい享受させてもらうことにしよう。
その半年間も、さらにその先も、悲痛な顔でタミーの体を抱きしめて、
「かわいそうに、かわいそうに」とつぶやいたりなんかぜったいしないぞ。
明るい笑顔を向けて、えらいなあ、おまえは勇気があるなあと、ただ褒めてやるのだ。
抱きしめて号泣するのは、息絶えた後の遺骸に対してだけだ。
(松浦寿輝)
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  1. 2013/03/28(木) 20:57:58|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

QOL

生活の質の向上は人間だけではないですね。全ての生き物にいえますね。松浦先生の言葉に深くうなづきました。阪神淡路大震災の時、『日常の生活が、どんなに幸せであるか』ということの意味を再認識、実感した当時を思い出しました。後悔しないために何事も『今』を大事に大切にしたいですね。
  1. 2013/03/29(金) 00:25:37 |
  2. URL |
  3. ビス丸のファン #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは

先生ありがとうございます
辛い胸の内を話してくださって

皆に愛されているタミーちゃんに平穏な日々が続きますよう

その平穏な日々を大切に過してください
  1. 2013/03/29(金) 12:33:27 |
  2. URL |
  3. まゆこ #-
  4. [ 編集 ]

一緒の時間

平凡な日常って、本当にかけがえがないと思います。大抵、失った後か、失いそうになるまで、気づけないんですが。
前の猫の時は、具合が悪くなってすぐ入院と言われ、30日間インターフェロンというのを注射され、そのまま病院で逝ってしまいました。今考えれば、家で家族で看取れなかったのかなと後悔したり・・・。
タミーちゃん、気づくのがごくごく初期段階だったのですから、本当にお幸せだと思いますよ。治療が有効な可能性も、十分あるわけですから。
軽井沢の別荘で過ごす日々が、今から楽しみですね。どうぞ、素敵な毎日をお送り下さい。
レポート、楽しみにお待ちしています。
  1. 2013/03/29(金) 14:47:55 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

タミーちゃんはタミーちゃんのままで、毎日を元気一杯過ごそうね。
うん、夏の軽井沢はきっと楽しいぞ。

輝く日々をどうぞ穏やかにお送りください。
  1. 2013/03/30(土) 16:55:20 |
  2. URL |
  3. qoomom #-
  4. [ 編集 ]

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