川の光日記

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2012年の動物本③ 『孤独なバッタが群れるとき』



地道に続いている2012年の動物本ベストシリーズ、最終回。

大きな書店に行くといつも、動物と進化論のコーナーに引き寄せられてしまう。
メインの関心は哺乳類と鳥類で、虫関係の本には滅多に手を出さないのだが、
これは、タイトルと帯に惹かれて、思わず手に取ってしまった一冊。

装丁はいかにも“学術書”だし、版元は東海大学出版会。
普通に考えればアカデミックで堅い内容のはずだが、それにしてはタイトルが妙に文学的だ。
帯の文句は「そのもの、群れると黒い悪魔と化し、破滅をもたらす」。
まるで最近話題のゴキブリ異星人マンガ『テラフォーマーズ』みたい。
そして、著者の名前もちょっと不思議である。
「前野 ウルド 浩太郎」。“ウルド”って…何? 著者紹介を見ると1980年生まれ。若い!

大人買いして家に持ち帰り、読んでみてまた驚いた。
内容的には、たしかに副題にある「サバクトビバッタの相変異と大発生」について書いてあるし、
実験結果のグラフなども多数掲載されているのだが、どうも文体がおかしい。
この文体は、どうやら著者のきわめてユニークなキャラクターに由来しているようだ。

書き出しからしてこうだ。
「その日、夜のネオン街を私は一人で歩いていた。昆虫学者になる夢がついえようとしていた」
見出しもなんだか変だ。
「あの娘にタッチ」「男たるもの」「オスにモテるがメスが好き」
「アゲハの誘惑」という見出しが登場したので、さてはバッタに見切りをつけて蝶に転向するのか?
と読み始めたら、「アゲハ」とは東京・新木場のクラブageHaのことで、
著者がポスドクになって収入が安定して気がゆるみ、“夜の蝶”たちに誘惑されそうになるが、
気を取り直して研究に復帰するまでの顛末が書かれていたのだった。

前野 ウルド 浩太郎氏は、バッタが大量発生する仕組み(相変異)を解明していく過程で多くの成果を上げ、
数々の賞を受賞し、現在はモーリタニアでフィールド調査を続ける前途有望な研究者らしい。
本書にはもちろん、その真面目な成果も大量に盛り込まれているのだが、
全体を貫くオフビートというかファンキーというか、従来のこの手の本ではありえないエキセントリックな調子によって、
バッタや虫にそれほど関心のない読者(私もそのひとり)をも引き込むパワーを持っている。
名前の“ウルド”の謎も巻末でちゃんと解き明かされる。

この「フィールドの生物学」シリーズはこれまで9冊刊行されていて、
①若い研究者に ②生物学者になるまでのいきさつや研究にあまり関係ないコマネタを含めて 
③自由に伸び伸び書かせる のがコンセプトのようだ。
バッタ本の前に出た『アリの巣をめぐる冒険』や『右利きのヘビ仮説』も目茶目茶おもしろいという噂。
またしても、大人買いで散財してしまいそうだ…。







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  1. 2013/01/09(水) 23:48:12|
  2. 動物の本
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

んーっと、失礼ながら。。

Izumiさん、
虫、すなわち昆虫は、節足動物門に属するひとつの綱であり、まぎれもない動物であります。
  1. 2013/01/10(木) 18:50:46 |
  2. URL |
  3. ムルムル #5yrVOggo
  4. [ 編集 ]

あは。。

でも、ご紹介の本は確かに面白そうですね。
ぜひ、読んでみたいです。
  1. 2013/01/11(金) 00:07:51 |
  2. URL |
  3. ムルムル #5yrVOggo
  4. [ 編集 ]

興味津々

IZUMIさん、こんばんは。毎日寒いですが、お元気にお過ごし・・・、のようですね!(たまには、変化球)
こういう感じの本、嫌いじゃないです、というか、寧ろ好きかもしれません(笑)。直球かと思いきやカーブとかフォークとか・・・、いや、ボールかと思いきや、たわしだった、みたいな感じでしょうか?私も読んでみようかな。
IZUMIさんと毎日過ごしていたら楽しいでしょうね。最初、先生を独り占めしているIZUMIさんのことが羨ましくてなりませんでしたが、今は、IZUMIさんを独占し、楽しい話題を提供されている先生のことが羨ましくてなりません。いつか、IZUMIさんにお目に掛りたいです!
  1. 2013/01/11(金) 19:22:26 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

Re: んーっと、失礼ながら。。

そうでした。「植物ではないもの」なわけですから、虫も当然、動物ですよね。
つい日常的に狭義で「けもの」という意味で使ってしまっておりました。
でもこの本はなかなかユニークで面白いですから、機会がありましたらぜひ!
  1. 2013/01/12(土) 23:19:42 |
  2. URL |
  3. IZUMI #-
  4. [ 編集 ]

Re: 興味津々

あきさん、こんにちは。本当に寒いですね。
犬は寒ければ寒いほど元気ですが、猫はストーブの前を離れません。

この本は、一見アカデミックに見えるので(中身はちょっと違うのですがw)、
図書館にリクエストすればすぐ購入してくれるのではないでしょうか。
私もこのシリーズの他の巻は、武蔵野中央図書館にリクエストしてみようと思っています。
  1. 2013/01/12(土) 23:24:30 |
  2. URL |
  3. IZUMI #-
  4. [ 編集 ]

「共生細菌の世界」

IZUMIさん、お帰りなさい。お疲れ様でした。充実したご旅行だったようで、何よりです。
旅行中、臨場感たっぷりの楽しいご報告ありがとうございました。先生にもよろしくお伝え下さい。またのご登場、期待しています。
図書館から「共生細菌の世界」(成田聡子さん著)が届いたので、読んでみました。
前野 ウルド 浩太郎氏にはかないませんが、このシリーズ、著者のそこまでに至る経緯(成田さんの場合は中学・高校時代生意気な生徒であったこと)も書かれているんですね。そういう意味では、若い人たちにもお勧めの本だと思います。時折はさまれている「コラム」も面白いです。
卒論で結論の出なかったキタキチョウとキチョウの分化(DNAを抽出)の話や、共生細菌ボルバキアによって性転換させられた種子島のキタキチョウ(蝶)の話は、なかなか面白かったです。調査や推理のたて方などは、研究の方法論として興味深いと思いました。昆虫って、一つ一つの細胞ごとの遺伝子によって雌雄が分化していくのですね。知らなかったです・・・。
  1. 2013/02/07(木) 09:47:00 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

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