川の光日記

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宮沢賢治の悪い動物たち



『川の光2』連載の影響で、今年は児童文学や動物ものを読んだり再読したりする機会が多いのだが、
宮沢賢治という大物がまだ残っていたことに思い至り、このところ、童話を中心に読み返していた。

賢治の童話といえば、『銀河鉄道の夜』のカムパネルラや『グスコーブドリの伝記』のブドリのような、
自己犠牲の精神を全うするピュアな登場人物を思い浮かべる人が多いはずだ。
でもほんとうは“あっぱれな悪”を描くのも、とても巧みな人だと思う。
「オッペルと象」のオッペルや、「毒もみのすきな署長さん」の署長さんなどは、
実に堂々とした、見上げた悪人である。
(署長さんのほうは、たしか永井均さんの倫理学にかんする著書で「なぜ悪をなしてはいけないのか」という
根源的な問いに対する有力な反証として挙げられていたような記憶がある)

動物ものも同じで、なぜか悪役が妙に魅力的だと感じるのは私だけだろうか。
以下、私が好きな宮沢賢治の「駄目な動物たち」のベスト5を独断で選んでみた。
(順不同)

1.「土神ときつね」の狐
樺の木の気をひこうとする、上品でおしゃれな狐。
「仕立ておろしの紺の背広を着、赤革の靴もキッキッと鳴ったのです」まるで『ファンタスティックMr.Fox』の主役だ。
ただ、どこかチャラいところがあり、星について語るうちに「ツァイスの望遠鏡を注文してある」なんて嘘を言ってしまう。
やがて、過剰なまでにキザなふるまいが土神の怒りに触れて、悲惨な末路をたどることになるのだが、
私は「ほんたうの美は実はそんな固定した模型のやうなもんぢゃないんです」なんてつるつる喋る
この狐がなんだか好きでたまらない。ちょっとうさんくさいけどインテリだし。

2.「ツェねずみ」のツェねずみ
このねずみは、普通に考えたら、とてもいやなやつである。
自分の失敗を他人のせいにして、なにかというと「償(まど)うてください。まどうてください」とストーカーのように迫る。
あまり根性がわるいものだから動物仲間に嫌われて、仕方なく柱やちりとりと交際をはじめるのだが、
しまいには彼らとも仲たがいして、最後は鼠とりと付き合うようになる。危険である。当然ながら、末路は悲惨だ。
しかしこの根性曲りぶりが、とてもリアルで人間的(?)でいいのだ。
おそらく賢治の近くに、こういう人が実際にいたのではないか。

3.「よだかの星」の鷹
「よだか」と「鷹」が似ているのを嫌がってよだかに改名を迫り、ある日可哀想なよだかの家にやってきて、
「市蔵」という名前に変えないと、つかみ殺してしまうと脅す。
ひどい奴なのだが、なぜか憎めない。
「市蔵」という絶妙のネーミングを考え付いただけでも、なかなかのセンスである。

4.「猫の事務所」の三毛猫
猫の歴史と地理を調べる「猫の第六事務所」の第三書記。
真面目だが不細工な「かま猫」のほうが仕事ができるのでやっかみ、なにかといじめる。
意地悪だが、集中力がなく、あまり執着がない感じが、とても猫っぽくていい。

5.「蜘蛛となめくぢと狸」の狸
「みんな往生ぢゃ。山猫大明神さまのおぼしめしどほりぢゃ。な。なまねこ。なまねこ。」と「念猫」を唱えながら、
兎の手をとって引き寄せ、耳→手足→全身の順番で食べてしまう。
この方式でオオカミまで食べてしまうからすごい。
インチキ教祖のわるい奴なので、やはり末路は悲惨である。
しかし「なまねこ、なまねこ、なまねこ」という念猫はあまりにも魅力的で、目の前で狸にこれを唱えられたら
指を何本か食べられてしまうかもしれない。


やっぱり、賢治はいいなあ。なまねこ、なまねこ、なまねこ。

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  1. 2012/08/31(金) 23:56:04|
  2. 動物の本
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  4. | コメント:0
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