川の光日記

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猫映画の名作再見『猫が行方不明』

猫映画の名作再見シリーズの続きで、『猫が行方不明』について書いてみたいと思う。

無題

公開は1995年で、封切り時に見たはずなので、実に17年ぶりに見直したのだが、
記憶のなかのイメージと少し異なる感触の映画で驚いた。

セドリック・クラピッシュが監督し、脚本も書いたこの作品は、全編、パリの11区でロケされている。
主人公のクロエは、愛猫のグリグリをマダム・ルネというおばあさんに預けてバカンスに出かけるが、
帰ってきたら猫は行方不明になっていた。そこから、近所の人々を巻き込んだ、猫の大捜索が始まる。

「猫がスパイスになった、ちょっとおしゃれなパリの人情劇」というような、ぼんやりした記憶しか残っていなかったが、
今回見て思ったのは、これは『子猫をお願い』にも通じる、孤独な女性の物語だということ。
そして「変わりゆく街を記録しておきたい」という思いにあふれた映画であることだ。

11区はご存知のようにパリ東部、バスティーユからレピュブリックにかけてのエリアで、
この数十年で、パリのなかで最も変化した場所のひとつではないだろうか。
もともとは職人が多く住んでいた庶民的な地区で、80年代末にバスティーユ・オペラが建設された前後は
ブティックやバーが増えて「ファッショナブルなエリア」に変貌した。
この作品が撮影されたころはさらに、大統領に就任したばかりのシラクによる再開発が行われ、
あちこちにクレーンがそびえ立ち、かろうじて残っていた路地や古いアパートをガンガン取り壊していた。
いまの東京でいえば、駅前の再開発が進む下北沢みたいな感じである。

そんななか、主人公は猫の捜索をきっかけに、それまで知らなかった地元の人々のネットワークに入り込んでいく。
親密な情報網で結ばれた猫好きおばさんたち。ちょっとトロいけど人が好くて、いつもからかわれている移民の青年。
昼間からふらふらしているアーティストやミュージシャン。なかには地上げ屋から立ち退きを迫られている人もいる。
そういう雑多な人たちが集う、おしゃれにはほど遠い、昔ながらのご近所カフェ。

「猫行方不明」のポスターを張ったり、聞き込み捜査をしたりしながら歩き回るうちに
主人公はふと、自分が誰とも深いつながりを持たない、根無し草であることに気づく。
原題は『Chacun cherche son chat』(人は誰も自分の猫を探している)。
再開発が進む街の風景と、地元コミュニティの存在を知ることでかえって浮彫になる主人公の寂しさがシンクロして
なんとも心にしみる、いい味を醸し出している。

猫のグリグリは、とても可愛い黒猫なのだが、なにしろ「行方不明」なので、登場シーンはそれほど多くない。
果たしてグリグリが無事発見されるかどうかは、見てのお楽しみということで。

P1020825.jpg
↑最近ますます貫禄が増し、行方不明にはなりそうもない我が家の白黒猫。

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  1. 2012/07/02(月) 18:52:42|
  2. 動物の映画
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:2
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コメント

フランス映画は癖になりますね

IZUMIさん、おはようございます。お怪我の具合はいかがですか。
『猫が行方不明』、面白そうですね。ぜひ、拝見したいです。パリの街に猫はよく似合いますね。モンマルトルにも沢山いるそうですね。レオナール・藤田もよく描いていました。フランス映画って、哲学的ですよね。映像よりも会話にうならされることが多いような気がします。あの「タクシー」ですら、派手な運転シーンより会話に感心したぐらいで・・・。「ピンク・パンサー」は違いましたっけ?まだ一度も行ったことがないのですが、死ぬ前にルーブルだけは行っておきたいです。
「外伝」、ゆっくり読んでいます。登場人物のこぼれ話なのかなと思っていたら、いきなり死生観あふれる世界へ迷い込み・・・。切ないけれど希望も見えて・・・。松浦先生の世界全開で嬉しくなりました。実は、「はやぶさ」に関係する施設って、わが家の割と近くにあるのですが、そういえば、最近、希望を感じるニュースが少ないな、と思いました。作家の皆さんに素敵な物語を紡いでいただくためにも、いいニュースが増えて欲しいものですね。
  1. 2012/07/03(火) 09:10:34 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

Re: フランス映画は癖になりますね

あきさん、こんばんは。いつもコメントありがとうございます!
「外伝」を気に入っていただけたみたいで、とても嬉しいです。
けっこう、泣ける短編もありますよね。
『猫が行方不明』も、機会があったらぜひ見てみてください。
本日は、夫が突然、ブログを書くと宣言しまして、こんな記事がアップされてしまいました…
  1. 2012/07/04(水) 00:29:16 |
  2. URL |
  3. IZUMI #-
  4. [ 編集 ]

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まとめtyaiました【猫映画の名作再見『猫が行方不明』】

猫映画の名作再見シリーズの続きで、『猫が行方不明』について書いてみたいと思う。公開は1995年で、封切り時に見たはずなので、実に17年ぶりに見直したのだが、記憶のなかのイメージ...
  1. 2012/07/03(火) 20:10:42 |
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