川の光日記

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犬のいる俳句



最近入手した『犬たちの歳時記』(笠井俊彌著/平凡社)の「夏」の部を眺めていたら、こんな句を発見した。

緑陰やリラと呼ばれて行ける犬  中村汀女 (昭和十年夏『汀女句集』)

場所は都会の手入れが行き届いたこぎれいな公園、犬は白いふわふわした小型犬。
トイプードル、またはポメラニアン。飼い主は女性、それもかなりの富裕層。
この句ではやはり、「リラ」というおしゃれな名前が決定的に重要で、
「緑陰やタミーと呼ばれて行ける犬」ではサマにならないばかりか、なんとなく笑いを誘われてしまう。

ちなみに昭和十年といえば、美濃部達吉の天皇機関説が貴族院で攻撃され、
満州国皇帝溥儀が来日し、永田鉄山少将が相沢三郎中佐に斬殺され、
翌十一年には2.26事件勃発、という緊迫した時期だったはずだが、
こんなに優雅な光景もまだ見られたのだ。

犬の名前といえば、こんな句も。

緑陰へ呼ぶ犬の名はソクラテス  秋元不死男 (昭和二十七年「氷海」十一月号)

『犬たちの歳時記』の作者、笠井さんは、
「このソクラテスが、ダンディ・ディンモント・テリアだったらとても面白いと思います」と書いている。
飼い主にも恬淡として独立心が強く、犬のなかの「哲学者」と呼ばれているのだそうだ。

↓調べてみたら、こんな犬だった。「小さな哲学者」という感じでかわいい。
imagesCABQDAB3.jpg

私はこの句を最初に読んだとき、若干、異なるイメージを思い浮かべた。
ソクラテスは大型の老犬、それも短毛種。ラブラドール・レトリーバー、ワイマラナーなど。
飼い主は男性で、大学の教員、または文筆業。
しかし、この句も「タミー」で置き換えてみると、どうにも恰好がつかないのであった。

ためしに「緑陰」と「名前」でオリジナルを一句。

緑陰でアハ顔する犬の名はタミー  泉 (2012年初夏)

…ダメだ。やっぱり「タミー」は絶望的に俳句の題材になりにくい名前なのだ…。

しかし、ひとつ自慢させていただくと、タミーは実は、川上弘美さんの句集『機嫌のいい犬』のタイトルと、
この句↓にヒントを提供しているのである。

徹頭徹尾機嫌のいい犬さくらさう

何年か前、タミーを連れて川上さんと井の頭公園でお花見をご一緒したことがあり、
タミーはうれしくてはしゃぎまわり、人間たちは昼間からたくさんお酒を飲んで、
すっかりいい気持ちになってしまったのだが、この句を読むとあのうららかな春の一日の情景がよみがえってくる。

『機嫌のいい犬』には

たくさんの犬埋めて山眠るなり

という、また趣きの違う犬の句も収録されていたりして、川上さんの小説とは異なる世界を堪能できる。




なお、私がいまのところ一番好きな犬の句はこれ。

天の川後脚を抱き犬ねむる   加藤楸邨 (昭和二十二年『野哭』)

広大な宇宙の片隅の銀河系の、そのまた片隅の惑星で無心に眠る犬…。
またタミーとキャンプに行きたいなあ、という衝動がこみあげてくる句である。









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  1. 2012/06/06(水) 19:24:21|
  2. 日記
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:2
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コメント

IZUMIさん、こんばんは。川上さんの歌は、タミーちゃんのことだったのですか!
◎緑陰でアハ顔する犬の名はタミー → 名句です!
◎緑陰でタミーと遊ぶへそまがり → 迷句になってしまいました。座布団・・・、じゃなく、明日からブログ出入り禁止ですね・・・。失礼しました。
◎緑陰で「トラ」と呼んだら無視されて → 遊んでくれないつれない愛猫を詠んでみました? 座布団、は・・・、ないですね、やっぱり(笑)。
  1. 2012/06/06(水) 23:13:55 |
  2. URL |
  3. あき #XcHMMwdw
  4. [ 編集 ]

俳句ありがとうございます

緑陰で「トラと呼んだら無視されて」 いいですね!
猫って本当に、外でばったり出会うと素知らぬふりをしますよね…
  1. 2012/06/08(金) 10:49:14 |
  2. URL |
  3. IZUMI #-
  4. [ 編集 ]

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  1. 2012/06/09(土) 01:03:33 |
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