川の光日記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

おとうさんといっしょ



こんにちは、タミーです。

おとうさんは最近ずっと、「げら」を見るしごとをしているんだって。
(「げら」って一体なんなのかなあ? 鳥の名前みたいだけど、正体は不明なんだ…)
ぼくも、おとうさんの四畳半の仕事ば(通称「おとうさん劇場」)に、いつもいっしょにいるんだよ!

でも、ごろごろしてるだけだとたいくつだから、
ときどき、おとうさんを使って遊ぶんだ。

IMG_1950b.jpg

犬プロレスをしたり

IMG_1976b.jpg

鼻がまがるほど吸いついたり

IMG_1980b.jpg

「感動の再会」ごっこをしてみたり。

ずっといっしょだから、再会するひつようはないんだけどね。

おとうさんて、いろいろ使えて、べんりだね!

↓おまけその1 犬プロレスをして散々夫の仕事部屋を荒らしまわったあげく、
目を開けたまま寝てしまったタミー。

IMG_1961b.jpg

↓おまけその2 フランシス・ベーコン風タミー。

IMG_1957b.jpg

スポンサーサイト
  1. 2013/11/29(金) 15:57:41|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

とある千ヶ滝の一日



11月末の某日。
近所の家が次々とシャッターを下ろし、別荘管理の人々が枯葉をブロワーで吹き飛ばす音が響くなか
(この地では枯葉は「掃く」のではなく「飛ばす」ものなのである)
わたしたちはまだ千ヶ滝の山中で頑張っている。

朝食後、タミーと山の道を散歩。
落葉樹の葉はすべて落ちて、山々の稜線が遠くに連なる爽快な景色。
最近、タミーは主要な散歩ルートを覚えてしまい、どんどん先に行っては「お母さん、早く~」と私を急かす。

夫は朝から朝日新聞の文芸時評で苦闘している。
明日掲載の予定なのだが、これで本当に間に合うのか。
カラーグラビア雑誌の編集を長らくやっていた私には、新聞の進行が不思議に思えてならない。
というか、もっと早く書き上げていれば、こんな綱渡りをする必要はもちろんないわけだ。

ようやく夫が原稿を仕上げ、ゲラが送られてくるまでに少し間があるというので、
食料も尽きたことだし、山道を車で下って中軽井沢駅前まで行き、定食屋で昼食。
帰りに商店街を歩いている猫を見かけ、「あ、猫…」と思い、近くに寄ってよく見たら、子だぬきだった。
マイペースで悠々と通りを横断した子だぬきは、路地の奥に消えてしまった。カメラを持っていなくて残念。
こういうのは、このあたりでは普通に見られる光景なのかしら。
「たぬ吉」などと呼ばれて、商店街の人々に愛されていたりして…

夕刻、夫がゲラを戻して一仕事終えたので、
いつもの佐久のシネコンまで出かけて映画鑑賞をすることに。
夫は『42』が見たかったらしいのだが、私が強くリクエストして『悪の法則』に決定。
なんとなく気乗り薄な夫をずるずる…と引きずるようにして(実際には車で運んでもらっているのだが)佐久へ。
6時過ぎともあると、あたりはもう真っ暗。外の気温は3度との表示。

シネコンはいつものように人気がなく、一階のゲームセンターでは佐久のティーンエイジャーが
やり場のない怒りをゲーム機にぶつけている。
観客はわたしたち2人だけ(あとで男性がひとりやってきて安堵)。

そして映画はというと、「ふと欲を出したテキサスの弁護士が麻薬の密輸に手を出し、痛い目に遭う」という陰鬱な話。
痛い目と一言でいっても、この映画の場合、そんじょそこらの生半可な痛さではない。
想像を絶する悲惨な末路が、主人公およびその仲間を待ち受けているのである。
私はこういう陰惨な映画が大好物なので、すっかり楽しんでしまったのだが、
夫はもう少しスカッとするアクションやサスペンスを期待していたらしい。

「みんな結局、むごい死に方をしたね…」
「マイケル・ファスベンダーはまだかろうじて生きてたじゃないの」
「あいつもほどなく、叫びながら死んでいくことになるんだよ」
「でもなかなかスタイリッシュでゴージャスな映画だし、チータもかわいかったし」
「麻薬カルテルのボスが電話で言ってたけど、一度なされた選択は、もう絶対に取り返しがつかないんだなあ…」

がっくりと肩を落とした夫は、ダンゴムシのように丸くなって、タミーと一緒に早々に寝てしまった。

IMG_1947b.jpg

ぼくは今日も元気いっぱいだよ!

  1. 2013/11/27(水) 11:43:08|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5

スケート教室



南軽井沢に「風越公園アイスパーク」というスポーツ施設があって、
夏はローラースケートやフットサルに使われているアリーナが、冬は屋外のアイススケート場になる。

数週間前に、この施設のサイトで「体験スケート教室」の募集告知を発見した。
まったくの初心者でも、1時間半でとりあえず滑れるようになるらしい。
軽井沢町民なら1000円程度の講習費で参加でき、貸靴もある。コーチは元オリンピック選手。
ほお…いいじゃない、これ! と思った私はすぐさま問い合わせの番号に電話して予約を入れた。
ついでに夫のぶんも。

私は8~9歳のころ、家族で滞在していたパリでローラースケートを履いて
街を滑ったことがあるだけで、アイススケートはほぼ初体験。
夫は18歳のとき、同級生に誘われてアイススケート場に行ったものの全然うまく滑れず、
その後練習しようと決心してひとりでまた出かけていったがやっぱりうまく滑れず、
それどころか寒さのために風邪をひいて高熱を出し、「もうスケートなんて嫌いだ!」と思い、
以後40年間、一度も滑っていないという。

しかし、なんといっても長野はウィンタースポーツ天国。
先日、佐久出身の40代の男性と話をする機会があったが、彼によると、
子供のころは凍った田んぼで、カジュアルに滑って楽しんでいたそうである。
我々だって、わずかながら経験もあるわけだし、この講習会に行けば、
浅間山を望む屋外の広いスケート場で、快適な時間を過ごせるようになるのではないか?

そんなわけで、予約してからかなりの時間が経過していたが、
なんとなく気乗り薄な夫をずるずる…と引きずるようにして(最近はいつもこのパターン)、
スケート教室に出かけた。

IMG_1929b.jpg

レッスンが行われるのは、屋外ではなく室内にあるスケート場。
参加者は私たちのほかには20代とおぼしき男女3人。
半分に仕切られたリンクの隣り合ったスペースでは、
親に付き添われた子供たちの集団がきゃっきゃと楽しげに集中講義を受けている。
スケート王国長野では、大人になってからスケートを始める人間は少数派らしい。

先生は丸顔のやさしそうな30代後半くらいの男性。
この人が元オリンピック選手なのだろうか?

貸靴を履いて準備体操をしてから、いよいよ氷上へ。
まずは、氷の上を歩く練習から。当たり前だが、つるつる滑る。怖い。
借りたヘルメットを装着してはいるが、すてんと後ろに転んで頭を強打したらどうしよう、
と怯えながらなんとか課題をこなす。

次に、氷の上で両足を開いては閉じて、ひょうたんの形を描きながら前進する練習。
わたしたちを除く若者組は、もうすっかり慣れた様子で、すいすいと滑っていく。
私は氷の上で悪戦苦闘。ふと横を見ると、夫が彫像のようにコチコチに固まっていた。

しばらく様子を見ていた先生がさりげなく、
若者3人組と私たちを2チームに分け、交互にレッスンすることを提案する。
そのやさしげな瞳には、いつかどこかで見たような
「あ~だめだこりゃ」的な表情が浮かんでいた…ような気がする。

若者たちが次のステップへと進んでいくのを横目で眺めながら、
氷上であがき続けることさらに約40分。
結局、「ひょうたん」をなんとかできるようになった時点でレッスン終了。
私は最後の5分間くらいで、突然ローラースケートの感覚を思い出し、
へっぴり腰ながらもゆっくり片足ずつ滑ることにかろうじて成功する。

以下、夫の感想。

使い慣れない筋肉を使ったうえに、肩にも常ならぬ力を入れていたので、全身が痛い。
きみは自分のことで必死でよく見ていなかったと思うが、3回ほど転んでお尻も痛い。
なんといえばいいか、全体として、楽しいというより、厳しくつらい体験であった。
そして、これから回数を重ねても、自分がすいすい滑れるようになるとは到底思えない。
そもそも、二本の足で地面を歩けるのに、
この金属の刃がついた靴で氷の上を滑るのに何の意味があるというのだろうか。

でも、せっかく「ひょうたん」ができるようになったんだから!となだめながら帰宅。

今度は誰でも入場できる屋外スケート場に連れて行って、
リンクの真ん中まで引っ張っていき、置き去りにして放置プレイを楽しもうかしら。
いけないと思いながらも、そんなサディスティックな空想にふけってしまう私であった。

IMG_1922b.jpg

浅間山もすっかり冬景色。



  1. 2013/11/23(土) 18:45:24|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

京都で写真修業

東京2泊、京都2泊の旅から軽井沢に帰ってきて、なんだか頭がくるくるしている。
とりあえず京都で撮影した写真をいくつかアップ。



↑1泊目のホテルからの絶景。東山三十六峰。左に見えるのは南禅寺。

IMG_1844b.jpg

↑永観堂の夜間ライトアップに何も考えずにのこのこと出かけたら、駐車場まではみ出す長蛇の列に驚いた。
この時期の夜間拝観はこれが普通なんだそう。

IMG_1865b.jpg

↑洛北の赤山禅院。紅葉の穴場と聞いて訪れてみたのだが、本当に穴場だった。
人出は永観堂の100分の1くらい。地元の人がのんびり歩いている。

IMG_1870b.jpg

↑赤山禅院のたぬきたち。

IMG_1882b.jpg

↑曼殊院にて。今年は紅葉が遅く、例年ならもっと真っ赤に染まっているそうだが、
このくらいのグラデーションもなかなかよいのではないかと思った。

IMG_1891b.jpg

↑詩仙堂にて。ここのお庭はどの季節に行っても美しい。

IMG_1914b.jpg

↑2泊目の旅館の坪庭。庭に植えられた椿はまだつぼみなのだが、

IMG_1917b.jpg

↑お部屋には椿が一輪生けてあるのが憎い。

いやあ、京都はやっぱり絵になるなあ、としみじみ。
被写体がいいと、写真も下手なりにカッコがつくものである。
紅葉も、軽井沢の野趣ある雰囲気に比べると繊細きわまりない。

夫は「タミー、お母さんが帰ってきたね、これでもうさびしくないね」と犬に話しかけている。
ううう、長いこと留守にしてしまってごめんなさい。
でも、お母さんが戻ってきたからもう大丈夫!



  1. 2013/11/21(木) 19:33:34|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

満月の東京でハナちゃんを思う



吉祥寺に戻ってくると、いろんなところにハナちゃんの痕跡がある。

顔をすりつけて匂いづけをしていた柱。

漆喰の壁に残る、小さな黒い足跡。
窓枠に飛び乗るために、いつもその場所で助走していたのだ。

マイクロファイバーのキューブでこすらないとなかなかハナちゃん関係の汚れが落ちず、
昔は「あ~掃除が面倒くさいなあ」と思っていたっけ。

家のなかでいちばん風通しがいい場所で
強い日差しを避けて昼寝していた姿。
お尻にしゅっと一本入った白い線がかわいかった。

ああハナちゃん。ハナちゃんはもういないんだなあ。
なんだかまた泣けてきて止まらない。

昨日の明け方、ハナちゃんが登場する短い夢をみた。
ハナちゃんはどこかの草地をたぁーっと駆けていって
小川のなかに入って、こっちを振り返った。
あれ、ハナちゃんは水がきらいなはずなのになあ、と思ったら目が覚めた。

いなくなってしまった日は新月だった。
月が満ちる夜は、なにかが狂ってしまうのだろうか。
今夜も大きな満月が、東京の空で輝いている。

  1. 2013/11/18(月) 20:59:11|
  2. ハナちゃん
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

冬枯れ



夫が枯れ木の前に佇んで、『嘔吐』のロカンタンのように考えこんでいる。

IMG_1804b.jpg

最近、彼はいつにもましてウツウツとしている。
ハナちゃんの不在。間近に迫った、文芸誌掲載の小説の締め切り。
そして自身の人生の冬に連動するかのような、本格的な冬の到来。

「木が枯れてるね…」
「あんなにきれいに紅葉してたのに、あっという間に散ってしまったねえ」
「葉が落ち、あんなにふんだんにあった樹液もすっかり涸れはて、干からびてしまったあげく、
ある朝、林のなかで音もなく倒れていくんだね…」
(たしかに付近一帯にそういう倒木がごろごろしているのだ)
「どうしたの、なんだか木のことで一生懸命になっているけど」
「そうやって枯れ木が倒れ、腐っていったあとには、若い樹木がどんどん芽吹いてくるんだね…」

どうやらロカンタンのようにマロニエの根に実存の不条理を見て取っているわけではなく、
冬枯れの木の光景に自分の姿を託して憂鬱になっているらしい。

さらにタイミングが悪いことには、私が明日から単独で
東京経由で京都に遊びに出かけ、5日間ほど留守にしてしまうのだった。

「そうか! 明日から君は僕とタミーを置いて、遠い、遠いところへ行ってしまうんだっけね」
「たった5日だよ! すぐに帰ってくるってば!」
「どうか僕のぶんも、たんと、都会の賑わいを楽しんできてね…」
「毎日電話するし、メールも見られるから大丈夫だよ!」
「千ヶ滝の遊歩道で熊に襲われて、瀕死の状態で電話するかもしれないけど、
そのときはよろしくね…」

そういう自分も、実は何度も東京に戻って独身生活を謳歌しており、
この前などは「いま、僕、銀座にいるんだよ♪ これから丸の内パンテオンで
『グランド・イリュージョン』を見るんだけどさ──」などと
華やいだ声で電話してきたものだが…

IMG_1757b.jpg

そんな夫をよそに、犬は今日も元気いっぱいだ!

IMG_1819b.jpg

あっという間に日が落ちて月が出てきた。
ううむ、たしかにこの情景はちょっと寂しいかも。

そういうわけで、明日から私は東京と京都に遠征。
Wifi接続がうまくいけば、京都からもブログ更新してみようと思う。



  1. 2013/11/16(土) 17:53:04|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

冬の到来



つい先日まで紅葉していた木々が、いっぺんに葉を落としてしまった。
そして冬が突然やってきた。
最近の朝の気温はもう零度以下。

IMG_1798b.jpg

野鳥の森を歩いても、カラマツがわずかに黄色い葉を残しているだけ。
そういえば、うかつなことにごく最近知ったのだが、北原白秋の有名な詩

からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。   
からまつはさびしかりけり。   
たびゆくはさびしかりけり。

(以下えんえんと続く)は、星野温泉に滞在して
周辺を散策したときに生まれたというから、
白秋が歩いたのは、まさにこの林だったのではないかと思われる。

カラマツは針葉樹なのに黄色く色づいて落葉する。
そして一面の冬枯れの景色が出現する。

なんだかさびしいね、と夫。
本当にさびしいねえ、と私。

だが、犬は絶好調。

IMG_1788b.jpg

道行く人もいない林のなかを縦横無尽に駆けまわり、
息を切らしているわたしたちを叱咤激励するチームリーダーとしてふるまう。
家の中と外との気温があまりに違うので、久しぶりにTシャツなど着せてみたが、
ほとんど必要なかったよう。

IMG_1785b.jpg

引っ張りっこでもお父さんを軽々と打ち負かす。

11月も中旬になると、軽井沢はいよいよ本格的なオフシーズン。
我が家の周辺は、本当に誰もいなくなってしまった。
FM軽井沢によると、猿の群れはすぐ近くの国道146号線の脇を行ったり来たりしているらしいのだが。

わおおおおお~ん、と遠吠えでもしてみたい気分である。
しかし、遠吠えしてもひとり。

台東区台東に生まれ、御徒町や上野の商店街をうろちょろして育った夫と、
いちおう山の手ではあるがごちゃごちゃした中野区の路地で縄跳びをしながら少女時代を過ごした私が
標高1000mを越すこの山の中腹で暮らし始めてはや3ヶ月半。
さすがに街の喧騒がちょっと恋しくなってきた。
タミーは断然、軽井沢のほうが幸せそうなのだが…

いつまでここで頑張るか、思案中。


  1. 2013/11/13(水) 23:37:12|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5

『詩の波、詩の岸辺』



夫の新著『詩の波、詩の岸辺』が届いた。
奥付では11月13日発行となっているから、もうすぐ書店に並ぶはず。
現代詩をテーマにした3つの講演と、
2008年に毎日新聞の夕刊に連載していた詩の時評が収録されている。

帯には「詩は失くなってしまうのか」とどきっとするような文言が印刷されているし、
「あとがき」の<今日の日本社会での「現代詩」の孤立ぶりは、やや病的な症状を呈してており…>
という一文にもあるとおり、いま「現代詩」と聞くと、根暗な人々がどこか辺境の地で行っている
妖しい秘技のようなイメージを思い浮かべる人も多いのではないかと思う。

しかし、そんな方にこそ、この本をおすすめしたい。

そもそも現代詩とはなにかという定義にはじまり、
萩原朔太郎や西脇順三郎やランボーなどの作品を丁寧に読み解いていくので、
これまで現代詩にあまり関心をもたなかった人も
「ほお…」と引き込まれるような作りになっている。
講演がメインなので、読者に語りかけるような口調で大変読みやすい。
夫によると、これは現代詩をめぐる「啓蒙の書」なのだそうである。

五柳書院刊、定価2,300円。
近日中にアマゾンにも入荷すると思われる。

IMG_1747b.jpg

↑ この話題に全然関係ないが、これはツルヤ特製の季節ものパン「秋の浅間山」。
  1. 2013/11/11(月) 15:44:28|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

エドガー・ソーテル物語



↑今年も枯葉の衣を身にまとう(早い話が枯葉まみれになる)「コロッケの芸」を披露する気満々のタミー。

さて、読了してからかなり時間が経ってしまったけれど、
『エドガー・ソーテル物語』について書いてみようと思う。



舞台はアメリカ北部ウィスコンシン州の大自然のなか。
犬のブリーダーを生業にする両親のもとに誕生したエドガーは、
耳は聞こえるし聡明なのに、生まれつき口がきけない。
彼は独自に編み出した手話で両親や犬たちと意思疎通しながら、
ブリーダーの仕事を手伝い、牧歌的な少年時代を過ごす。
しかしある日突然、父親が倒れて亡き人となってから
エドガーの運命は大きな変転のときを迎える…

ストーリー紹介はこれくらいで止めたほうがいいような気がしてきた。
これは丁寧な文章でじっくり綴られていく長い長い物語であり、
近年には珍しいほど、長編の世界に没入して読む楽しみに満ちた作品なので、
予備知識は最低限でいいのではないだろうか。

読んでいくと途中で「もしかしたら?」と気がつく人も多いはずだが、
この小説はシェークスピアのある有名な悲劇を下敷きにしている。
そしてよく知られたヒロインの役を、一匹の犬が演じている。
しかしその悲劇のタイトルも、知らずに読み始めたほうがいいと思う。

つまり、面白いからぜひ読んでみてください! とくに犬好きの方は絶対!
とだけ言っておけばいいようなものなのだが、
せっかくなので、個人的にとくに感銘を受けたポイントをいくつか挙げてみる。

●とにかく犬の描写が最高。

基本的にこの小説では、犬は擬人化されない。
彼らのしぐさや態度が淡々と客観的に描写されていくだけなのだが、
それが常にシャープで的確で愛にあふれ、犬の魅力を余すことなく伝えている。
生まれたばかりの無邪気な仔犬たち、家族の一員として生きる名犬、
野生化した一匹狼のはぐれ犬、主人公の逃避行に寄り添う若犬たちなど、
さまざまな犬が生き生きと躍動して、犬好きの心をわしづかみにする。

●主人公も実は犬?疑惑。

主人公エドガーの「頭がよくて聴覚は正常、なのに口がきけない」
という設定は、どう考えても犬である。
その証拠に、彼の最初の記憶は、木の床に犬の爪がカツカツと当たる音であり、
揺りかごのカーテンをかきわけて顔を出した犬の笑みや、
顔をべろりと舐めたその舌の温かい感触なのだ。
エドガーは人間の少年ではなく究極の名犬のような存在で、
これは結局、聡明な犬が人間の愚かさと闘う物語なのではあるまいか。

●森への逃避行にわくわく。

父の死後、ある事情によってエドガーは3匹の犬を連れて家出し、森をさまよう。
この森には湖が点在し、その周辺はちょっとした別荘地になっている。
なんとなく今の自分の環境に似ていて、このパートはかなりわくわくしながら読んだ。
留守の別荘に忍び込んで食料を調達したり、木陰で犬と体をくっつけあって丸くなって眠ったり。
犬たちはたくましく亀の卵を掘り出したり、蛇をつかまえて食べたりもする。
そして、さらなる危機が訪れたときに彼らを助けてくれる、ある人物。
最初は犬に疎く関心もなかったこのキャラクターがだんだん犬好きになっていくくだりがたまらない。

アメリカではベストセラーになったこの本、ハリウッドで映画化の企画が進んでいるらしい。
どうせならスピルバーグに監督してもらえないものか、と密かに願う私だった。

  1. 2013/11/09(土) 18:34:47|
  2. タミー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

初霜



今朝、目覚めて庭を見ると、一面に霜がおりていて驚愕した。
むしろ「庭がバリバリに凍っていた」というほうが正しいかもしれない。

FM軽井沢(このあたりでまともに入るFMはこの局だけ)によると、
今朝は今年一番の冷え込みで、ー0.5度まで下がったらしい。

しかし天気は快晴で、この後気温はぐんぐん上昇。
フリーズドライ状態だった庭もあっという間に解凍された。
Y新聞のM田さんがランチにやってきたころには太陽が照りつけて、
暖房なしでも室内の温度は20度以上に。
なんなんだ、この極端な寒暖の差は…。

紅葉はほぼ終わりかけていて、葉を落とした樹々の間から
浅間山をはじめとする周辺の山々の稜線がくっきり見えるようになってきた。
空気は澄み切り、これはこれで、なかなか爽快な眺めである。

IMG_1644b.jpg

↑いつ見てもカッコいい浅間山。

タクシーで帰っていったM田さんを見送ってから、タミーと夕方の散歩。

ふと遠い目をして、若き日の軽井沢幻想について語りだす夫。

曰く、

いや、ぼくがまだ若いころの話だけどね。
合宿やセミナーで軽井沢に来て、こんな散歩道を歩いているときに、
向こうから麦わら帽子に白いドレスの女性が歩いてきて、
そのひとと知り合いになったらどうだろう、などとよく夢想したものさ。フッ…

そのひとはヒナギクの花束を抱えていて、
ドイツのリートなんかを口ずさんでいるんだ。
ぼくたちはすぐに仲良くなって、彼女がイーゼルにカンバスを掲げて
草原で油絵を描いている横で、僕は寝転んで
ふたりで好きな詩人の話をしたりするわけ。
彼女が好きな詩人は、きっとハイネなんかだろうなあ。
しかしそんな出会いは結局、一度も現実には起きなかったなあ…

…ううむ、完全な軽井沢妄想、というかまんま『風立ちぬ』幻想ではないか。
そもそもヒナギクがどんな花か、わかっているかどうかも怪しい。
この前、読売新聞に書いた軽井沢エッセイでは、堀辰雄的な軽井沢を批判していたくせに、
実は自分もその世界にどっぷり浸かっていたとは…

IMG_1467b.jpg

お父さんて、ろまんてぃすとなんだね!(by タミー)




  1. 2013/11/06(水) 23:03:39|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:9

夫です。『川の光2 タミーを救え!』の単行本化につき。

IMG_1246b.jpg<

↑「もっとカッコいいタミーの写真に変更せよ」との仰せがあったので、とっておきのを放出。

夫です。

さて、『川の光2 タミーを救え!』の単行本化は、快調に進行しています。

わたしは残念ながら軽井沢にいて、今回、東京での打ち合わせに直接加われないのですが、
中央公論新社編集部の打田いづみさん、ブックデザイナーの中島かほるさん、
画家・絵本作者の島津和子さんのお三方の間で、現在、濃密な意見交換が行なわれている模様です。

『川の光』も『川の光 外伝』も、この女性ばかりのゴールデン・トリオが知識と経験を結集して、
すばらしい本に仕上げてくださいました。今回も絶対、魅力的な本になると確信しています。

島津さんは、早速、表紙絵のラフ・プランを鉛筆で描いてくれました。なんと、これが素敵なこと! 
「救援部隊」の面々が、小高い丘のうえからかなたに東京タワーやスカイツリーも見える
大都市東京の広がりをはるかに遠望し、少し途方に暮れ、しかし「さあ行くぞ!」と勇み立っている情景です。
もし島津さんのお許しが得られたら、ここにアップしたいくらいですが……。
しかし、中島さんは中島さんで、また別のアイデアもあるようです。期待で胸が高鳴ります。

問題は、地図です。前作『川の光』同様、この本には、どうしても地図が必要です。
さあ、それをどうするか。
今度は『川の光』よりはるかに広い土地をカバーしなければなりません。
現実の東京地図をそのまま使うか、それともそれをデフォルメして
島津さんにうまくイラスト化していただくか……(後者になりそうですが)。

そして、その地図を本のどこに組み込むか。
『川の光』のように表紙の見返しを使うか、
部分図ごとに本文の各所に組み込んでいくか、それとも別丁で折込みにするか。
わたしは折込みのある本というのも実は相当好きなのです。
折込みを引き出して広げ、随時参照しながら、本文を読むというあのわくわく感……。

中島さんも島津さんも、ひと癖もふた癖もある──これは褒め言葉!──
高度なプロフェッショナルで、良い意味で頑固というか、譲らないときは譲らないし、
そのうえでとにかくベストな形を徹底的に追求してくれるので、
わたしは全幅の信頼を置いています。

ちょっと懐古的になってひとこと余談をはさめば、
中島かほるさんに作っていただいたわたしの初めての本は、
映画評論集の『映画n-1』で、当時、中島さんはまだ筑摩書房に勤めておられました。
1987年のことです。もう4半世紀前なのですね。
あれからずいぶんいろいろなことがありました……。

しかし、『映画n-1』の挿入図版の相談に、当時はまだ神田にあった(現在は蔵前)
筑摩書房に伺った日のことなど、つい昨日のことのようにまざまざと蘇ってきます。
まだ30代半ばだったわたしは、鼻っ柱が強くなまいきなくせに、
一方で自信がなくておどおどしたりもしている、しょうもない若造だったはずですが、
そんな青二才のいい気な言動に、中島さんは腹も立てず
優しく丁寧に対応してくださったものでした。

さて、その中島さんと島津さんの間を柔らかく調停しつつ、
コスト面をにらみながら、また早くも宣伝のストラテジーを練りながら、
てきぱき進めてくださっているのは、
中公編集部の、これまた高度なプロである打田さんです。
今月半ばには校正刷りもわたしの手元に届くそうです。

年明けの2月25日の刊行を、どうか楽しみにしていてください!

  1. 2013/11/05(火) 17:39:41|
  2. 川の光
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:11

11月4日



今日はタミーの8歳の誕生日。
今年はいろいろあったけれど、無事にこの日を迎えられて本当によかった。
しかしこの大変に美味なアンズのタルト(中軽井沢のパティスリー・シェ・カジワラ特製)は
主に人間たちがぺろりと食べてしまうわけなのだが…

IMG_1705b.jpg

タミーにはAさんからいただいた「いぬぱん」を少しだけおすそ分けすることに。

IMG_1720b.jpg

そして今日は、ハナちゃんの命日でもある。

いまでも毎朝、目覚める直前の夢と覚醒のあわいのような状態のなかで、
ハナちゃんのことをずっと考えている。
まだ夢には出てこない。
ああ本当に、なぜむざむざと死なせてしまったんだろう。
あんなに頭のいい、素敵な猫だったのに。

ハナちゃんにお線香を送ってくれたY子さんは
「ハナちゃんは松浦家専属のかみさまほとけさま」だといって慰めてくれた。
どんな形であれ、いつも一緒にいてくれたらありがたいのだけれど。
これは人間の身勝手というものかもしれないが。

IMG_1718b.jpg

秋の庭のタミー。




  1. 2013/11/04(月) 15:08:34|
  2. タミー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

上田


先日の小諸に続き、“信州小さな旅シリーズ”で上田に行ってきた。
風光明媚な浅間サンラインという道路を車で一時間ほど。

IMG_1676b.jpg

池波正太郎が贔屓にしていた「刀屋」で昼食。
信州の蕎麦は量が半端じゃないのが特徴。
これで「小ざる」。650円はお値打ちだと思う。

IMG_1692b.jpg

古い町並みが残るオシャレな一画、柳町で目撃した謎のふくろうベンチ。

最近、私はもっぱら、買ったばかりの50ミリ単焦点レンズを愛用している。
軽くて持ち運びに便利だし、F1.8ととにかく明るい。
これで撮り続けていると、だんだんズームレンズが邪道に思えてくるから不思議である。
50ミリは人間の視覚に最も近いといわれ、かの小津安二郎監督も愛用していたレンズ。

IMG_1680b.jpg

上田城址公園にて。
人生に疲れた赤いセーターの男の哀愁漂う背中を、小津安二郎風に撮影。



紺屋町。どの方角を眺めても遠景に雄大な山があり、
昔行ったコロラド州のデンバーという町にちょっと似ている。

歩きながら唐突にハナちゃんのいろんな姿を思い出しては泣きそうになる。
窓辺で外をじっと見ていた横顔。
ソファや草の上で寝そべりながら毛づくろいをするときのしなやかで優雅なポーズ。
深い緑色のきらきらする目。時折まぶしそうにこちらを見返す視線。
猫というのはなんてエレガントな生き物なんだろう。
ああ、もう一度ハナちゃんに会いたい…。

上田は構造的に小諸に似ているが(駅に向かって緩やかに傾斜している目抜き商店街、
城址公園、蔵や木造の家が残る旧街道など)、小諸より活気があり、清々しい清潔感が漂う小都市。
映画ロケが盛んな町でもあるらしく、観光案内所のパンフを見たら
鈴木清順の『けんかえれじい』とか黒澤明の『姿三四郎』なども上田で撮影されたとあって驚いた。
最近ではアニメーションだが『サマーウォーズ』とか、黒沢清の『贖罪』などで有名。
夫は「ここは昔僕が好きだったドラマ『青春とはなんだ』の舞台にそっくりだ!」と騒いでいたが、
パンフを見たら実際に『贖罪』と同じ上田の北小学校でロケされていたのだった。
それにしても「青春とはなんだ」って、ものすごい直球タイトル…。
(主演は夏木洋介で、ヒロインは「サインはVのあの娘」だったそうである)

IMG_1711b.jpg

民芸品店で見かけて衝動買いしてしまった信州の郷土玩具「鳩車」。

ますます信州にハマっていくわたしたち。
次回の小さな旅ではさらに足を伸ばして長野市や小布施を訪れたいと計画中。


  1. 2013/11/01(金) 14:03:42|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

プロフィール

IZUMI

Author:IZUMI
賢くて優しかったハナちゃん
(2003~2013)の思い出に



『川の光2 タミーを救え!』
絶賛発売中!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

タミー (34)
ハナちゃん (21)
川の光 (48)
日記 (270)
動物の本 (17)
動物の映画 (13)
旅先の動物たち (9)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。